<第10号>OIST 3,000億円の行方を問う

2011年に開設された沖縄科学技術大学院大学(OIST)には、公的一次資料の積み上げから3,000億円規模の沖縄振興予算が投入されている推計されています。

開設から14年が経った今、「OISTが沖縄経済界・沖縄学術界に何をもたらしたのか」について検証しなければならないと思っています。

2009年7月、沖縄科学技術大学院大学学園法が成立・交付されましたが、当時、この法律は永田町で「尾身幸次プロジェクト」と呼ばれていました。

尾身幸次衆議院議員が2001年の第1次小泉内閣で沖縄及び北方対策担当大臣兼科学技術政策担当大臣を務めたときに提唱したプロジェクトで、「世界最高水準、ベスト・イン・ザ・ワールドの大学を創る」という尾身先生の強い推進力の下にできあがったのがOISTだからです。

OISTの開設までは紆余曲折があり、最終的に「OISTに関する予算をだれが負担するのか?」が大問題となりました。

世界最高水準の大学を創るのであれば、それはもう国家プロジェクトであり、文部科学省の予算で創るのが当たり前ですが、文科省は、「戦後の歴史の中で沖縄が強いられてきた多くの負担、そして現在も在日米軍基地の7割を抱えていることなどから進められてきたプロジェクトであり、OISTは沖縄振興予算が充てられるもの」としたのです。

私は正直、びっくりしました。

沖縄が必要としている貧困対策や経済対策、インフラ整備等にペースダウンが起こることを懸念したからです。

国家プロジェクトとして進められるのが当たり前だったOISTプロジェクトは、「沖縄への押し付けプロジェクト」になってしまったといっても過言ではありません。

私は、OISTが沖縄に果たした役割をはっきりさせようと、2020年に質問主意書で、「OISTでの研究成果を活用したベンチャー企業は何社設立されたか」について、政府に問いました。

政府答弁で「研究成果活用のベンチャーは『2社』」。

しかも、その2社については、企業名はおろか事業の内容についても公表できないという、不透明極まりないものでありました。

そして昨年、そのベンチャー企業の一社は倒産したという報告も受けております。

OISTに投入された3,000億円という沖縄振興予算を、OIST以外の琉球大学や県内私立大学、専門学校への支援に充てていれば、沖縄の教育界は劇的に変わっていたのではないかと、私は考えています。

今のOISTが沖縄の未来に必要だという根拠を示すことは、非常に困難だと思います。

これ以上の公的資金をOISTに投入すべきかどうかをしっかりと検証したうえで、OISTの方向性、予算の拠出元などを考えていかなければならないと思っております。

OISTでは、研究者一人当たり年間2億円の研究費が与えられており、日本の国立大学の全国平均650万円をはるかに超える高額な研究費となっています。

そして、研究者は5年ごとに評価されることから、研究者一人当たりの研究費は2億円×5年間=10億円です。

また、2024年12月には、OISTの職員が10年以上にわたって取引先業者から約2億円を不正に受け取っていたという事件が発覚しました。

この事件は氷山の一角であり、国は徹底的に調査を行い、会計検査院がOISTにメスを入れるべきだと、多くの方から耳にします。

沖縄県民に貢献するための沖縄振興予算が、沖縄に何の成果ももたらさないOISTに3,000億円余もつぎ込まれてきたということは、私たちも猛省しなければなりません。

何度も言いますが、これだけの莫大な予算を、沖縄の子どもたちの教育に充てていたら・・・沖縄の未来はどれほど明るいものになっていたでしょうか。

私が考えるOISTの本来の成果は、ノーベル賞受賞者を輩出することではなく、「沖縄の子どもたちが沖縄で学び、世界に羽ばたいていくこと」です。

政治は予算の使い道を誤った現実を直視し、OISTへの公的資金投入を再検証すべき時が来ています。

OISTの方向性、そして予算の拠出の在り方を、沖縄の未来のために見直していかなければなりません。

株式会社 沖縄ファースト政策研究所

所長    下地 幹郎