<第29号>予算成立失敗の本質-高市政権の誤算と国会の現実-
高市内閣が強く希望していたにもかかわらず、26年度予算案の年度内成立は実現しませんでした。
当たり前のことですが、1月に衆議院を解散すれば、年度内に予算を成立させることが難しくなることはわかっていたはずです。
しかし、衆議院選挙で自民党が3分の2超の議席を獲得する圧勝となったことから、その勢いを背景に衆議院で予算を強引に通過させ、過半数を持たない参議院においても押し切れると判断して国会運営を進めたのでしょう。
その結果は、うまくいきませんでした。
その原因は、大きく3つあると考えています。
その前に、私の考えを述べます。
私は、「野党は、予算の年度内成立に協力すべきだった」と思います。
イラン戦争の勃発により物価はさらに高騰し、ガソリン価格も高止まりし、供給の不安も生じています。
このような状況においては、まず年度内に予算を成立させ、4月以降に速やかに補正予算を編成することで、国民に安心感を与えることが重要です。
もし、野党が主導する形で予算審議を行っていれば、国民からの野党への信頼は大きく高まっていた可能性があります。
しかし実際には、審議時間が限られている中で予算内容の問題点を多く指摘し、結果として年度内成立を遅らせる対応になりました。
これは、野党としての本来の役割ではあるものの、今の状況下では適切な行動ではなかったと考えています。
高市総理以上に、野党が国民生活を重視し、年度内成立に協力していれば、政治の空気は大きく変わっていたのではないでしょうか。
ここから本題です。
高市内閣が予算の年度内成立を実現できなかった理由は、第一に「政治的対立」「国会運営の停滞」「政権の調整力不足」という三つの要因が重なったことにあります。
中でも、参議院のねじれによる政治的抵抗を過小評価していたことが、大きな要因だったと考えられます。
第二に、政策内容そのものが大きな争点となっていた点が挙げられます。
特に、防衛費の大幅増額、増税や財源問題、エネルギー政策、社会保障改革といったテーマは、いずれも国民的関心が非常に高く、対立が激しくなりやすい分野です。
これらの重要課題を一度に前面に押し出したことは、参議院がねじれている状況下においては、戦略的に適切ではなかった可能性があります。
第三に、国会日程や戦術的な要因も影響しています。
野党は長時間の質疑を求めたり、文部科学大臣のスキャンダルを追及したりするなど、政府・与党にとって不利となる動きを強めました。
しかし、それに対して政府と与党が一体となって乗り切る体制を十分に構築できなかったことも、成立遅延の一因といえます。
さらに重要なのは、予算の年度内成立を最も強く望んでいたのが高市総理自身であった一方で、自民党の衆参両院の国会対策(国対)が必ずしも一枚岩ではなかった点です。
つまり、与党内で十分な意思統一と指導力の発揮ができていなかったことが、結果に大きく影響しました。
国民からは圧倒的な支持を得ていたにもかかわらず、与党内での統率(グリップ)が十分に効いていなかった。
この点こそが、年度内成立が実現できなかった最大の要因であると考えられます。
また、このような調整不足は、今後の政策運営にも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、消費税の食料品に対する時限的な減税や、防衛費のGDP比2%達成といった重要政策についても、同様に前進が難しくなる懸念があると言えるでしょう。
株式会社 沖縄ファースト政策研究所
所長 下地 幹郎


