<第33号>貧困を潰せ。それが沖縄再生のすべてだ

株式会社沖縄ファースト政策研究所は、沖縄県が抱える数々の課題を徹底的に洗い出し、その解決策を具体化し、新聞・テレビ・SNSといったあらゆる媒体を通じて社会に提起し、実現に向けて行動している政策集団です。

その中でも、最も強い危機感と覚悟をもって取り組んでいるのが「低所得・貧困問題」です。

沖縄振興策は、復帰後50年以上にわたって続けられてきましたが、その長い年月の中で何が起きてきたのか、その現実は極めて重いものです。

低所得問題も貧困問題も、決して解決されていない。

それどころか、むしろ固定化し、世代を超えて再生産されているのが現実です。

これまでの沖縄振興策は、「経済が成長すれば、いずれ貧困は解消される」という前提に立っています。

しかし、この前提は明確に誤りであったと言わざるを得ません。

経済成長は起きましたが、貧困は消えませんでした。

ここにあるのは“政策の限界”ではなく、“前提そのものの破綻”なのです。

もはや結論は出ています。

「経済成長では貧困は消えない」

この現実から目を背け続けることこそが、最大の問題なのです。

沖縄の現状は、そのことを冷酷なまでに突きつけています。

児童虐待の発生率は全国でも極めて高い水準にある。

子どもの貧困は深刻で、約3人に1人という状況が続いている。

発達に課題を抱える子どもの数は、この10年で急増している。

不登校は過去最多を更新し続け、小・中学校だけで約7,400人、高校を含めれば8,000人を超えている。

さらに、ひきこもりは約1万3,000人規模と推計され、人口比でも全国平均を大きく上回っている。

これらは単なる個別の社会問題ではありません。

すべては低所得・貧困という土壌から連鎖的に発生している“構造的問題”なのです。

この構造は、表面に見えている数字だけではありません。

統計に表れない「見えない貧困」「声を上げられない家庭」「支援から漏れている子どもたち」が、さらに深いところに確実に存在しているからです。

近年、問題視されている非行や逸脱行動の増加も例外ではありません。

背景には、家庭の経済的困窮、教育機会の格差、将来への絶望といった要因が複雑に絡み合っています。

つまり、貧困は単なる所得の問題ではなく、社会そのものを蝕む連鎖反応の起点なのです。

だからこそ、発想を根本から転換しなければならない。

「経済が成長すれば貧困がなくなる」のではない。

「貧困をなくすことで、経済が成長する」のである。

この順序を誤り続けた結果が、現在の沖縄の姿です。

いま求められているのは、理念ではなく、実行可能な具体策であり、それは、世代ごとに明確に設計されなければなりません。

子どもに対しては、教育費の完全無償化を実現し、機会格差を根絶する。

勤労世代に対しては、年間120万円規模の所得向上を実現する実効性ある政策を構築する。

高齢者に対しては、最低年金を下支えする制度を整備し、老後の貧困を断ち切る。

さらに、低所得者層に対する住宅政策として、安定した居住を確保する仕組みを構築する。

加えて、給付・補助といった直接支援と、教育・就労・環境整備による機会創出を組み合わせた「ベストミックス型政策」を徹底的に実装する。

そして、低所得者に対する所得税の減免など、可処分所得を確実に増やす制度改革も不可欠である。

これらは理想論ではなく、実行すれば確実に社会を変える“現実的な処方箋”です。

重要なのは、「誰一人取り残さない」という言葉を掲げることではありません。

「取り残さないために、何をするのか」を明確にし、実行することです。

今の沖縄は、低所得と貧困という圧力によって、社会全体に歪みが生じています。

その歪みが、教育、福祉、治安、そして次世代の可能性にまで深刻な影響を及ぼしているのです。

この現実をこれ以上先送りすることは許されない。

問題はすでに十分すぎるほど可視化されている。

足りないのは分析ではなく、決断と実行なのです。

沖縄の未来を本気で変えるのであれば、やるべきことは一つしかありません。

貧困を徹底的に潰すこと。

それこそが、沖縄の経済を再生させ、社会を立て直す唯一の道だと考えます。

株式会社 沖縄ファースト政策研究所
所長    下地 幹郎