<第26号>たばこ特別税と沖縄

社会に存在する矛盾や不合理を洗い出し、それを分析し、改善策を提案し、実行して解決していく役割を持つのが政治で、政治はその手順を丁寧に踏みながら進めていかなければなりません。

つまり、単に「反対運動だけを行う」のではなく、現実的な提案を行うことが重要であり、同時にその提案を「謙虚に受け止める権力側の能力」も必要です。

この二つが噛み合ったとき、政治は確実に生活者のためのものになります。

そこで、今回から2回に分けて、沖縄県が抱える矛盾や不合理を整理し、沖縄の立場を明確にすることの重要性について考えてみたいと思います。

「たばこ特別税と沖縄」

1987年4月1日、国鉄分割民営化に伴い「日本国有鉄道清算事業団」が設立されました。

これは、JRが直接背負わない国鉄の長期債務を処理するために設けられた組織です。

国鉄が民営化された当時、国鉄の長期債務は約37.1兆円にのぼり、そのうち約25.5兆円(全体の約7割)が国鉄清算事業団へ移されました。

この巨額の債務を返済する財源の一部として、政府は、たばこに対する特別税制を設け、たばこ1本あたり0.82円を課税し、その収入を債務処理に充てる仕組みを導入したのです。

日本全体のたばこ販売本数は、近年では年間約800億本前後とされています。

沖縄県税務課のデータによると、2022年度の県内のたばこの調定本数は18億6482万本。

たばこ1本あたり0.82円の特別税によって、沖縄県民は年間およそ15億2915万円程度を、国鉄清算事業団の債務処理のために負担してきたことになります。

国鉄清算事業団は1987年に設立され、その後1998年に解散しましたが、債務は国の機関に引き継がれ、現在も国の債務として返済が続いています。

仮に約40年近くにわたって同様の負担が続いてきたと考えると、沖縄県民が負担してきた額は累計で600億円規模に達している可能性があります。

しかし、「沖縄にはJRの鉄道網は存在せず、国鉄の鉄道サービスの恩恵も受けていない地域で、沖縄がたばこ特別税を払う必要があるのか?」と私は考えています。

沖縄の立場から見て、この税は不公平で、無理があるとしか言いようがありません。

沖縄県民が支払ったこの600億円規模のたばこ特別税を、国は沖縄県に戻さなければいけません。

その財源を、私たちは沖縄縦貫鉄道の実現に活用するのです。

沖縄縦貫鉄道を整備するには、那覇から本部町まで72キロで7200億円の建設費がかかります。

私は、沖縄戦の最激戦地だった糸満市摩文仁の平和祈念公園を始発駅とし、笑顔あふれる本部町の海洋博記念公園(美ら海水族館)を終着駅とする案を考えています。

駅は24駅程度を建設し、モノレールの営業に支障を与えないように、西側にルートをとります。

資金においては、公的資金が半分、残りの半分は民間金融機関からの借り入れというようなスキームをつくります。

そして1日10万人のお客様に乗っていただければ、このプロジェクトは年間41億円の利益が出る事業計画になっています。

私の提案通り、国鉄清算事業団へ沖縄県民がこれまで支払ってきた600億円がこのプロジェクトに投下されれば、債務は圧縮され、利益は年間41億円よりさらに多くなります。

私たちはしっかりと不条理に物言う県民でなければいけない。

国策で、北海道から鹿児島まであれだけの税金を投入して鉄道網を構築してきたことを考えれば、沖縄県に鉄道がないという現状は、インフラ差別そのものと言えます。

私たちは、ただ単に文句を言うだけではなく、論理に基づいて当たり前の対価を取り戻し、そして自らの手で沖縄縦貫鉄道を実現していきたい。

今回のたばこ特別税への指摘は、これから沖縄が進むべき未来の道しるべの一つになると思っています。

きちんとした論理に基づいて提案し、国と協議して対価を取り戻す。

そのことによって沖縄県民の暮らしを守る。

沖縄ファースト政策研究所は、その役割を大胆に担ってまいります。

※次回は、沖縄県が受けてきた見過ごせない不条理である「防衛費と所得税」について考えます。

株式会社 沖縄ファースト政策研究所
所長    下地 幹郎