<第28号>「強かな外交」の正体-“弱い日本”と“沖縄不在”

今回の日米首脳会談を5つの切り口で見ると、高市総理の「強かな外交」の姿が見えてきます。

また同時に、「今この時」「この一瞬」を乗り越えるのに、いかに一生懸命であったのかも察することができます。

1.憲法9条に助けられた高市総理

日曜日の朝のニュース番組で、橋下徹氏の発言は非常に興味深いものでした。

橋下氏は、「高市総理は、日本国憲法第9条の制約により、トランプ大統領が強く求めたホルムズ海峡への自衛隊艦船派遣を拒むことが可能になった」「自民党や日本維新の会のように憲法改正を掲げる勢力が、現行の9条を盾にトランプ大統領の戦時中の艦船派遣要求を止める事が出来た」と指摘し、結果的に憲法9条に救われたという逆説的な視点を示しました。

憲法9条を変えたい高市総理が、憲法9条に助けられる。

今を乗り切るために、憲法改正論者が護憲に回った瞬間でした。

2.トランプ大統領を怒らせないための“持ち上げ外交”

日米首脳会談の中で、高市総理は「世界の平和をつくれるのはドナルドだけだ」と発言しましたが、世界の首脳が絶対に言えないことを言ってのけるところは高市総理の凄いところです。

世界の首脳は、納得も理解もすることはないでしょう。

首脳会談の冒頭の記者入りの時間に、トランプ大統領を「怒らせず」「暴言させない」ために、彼が一番喜ぶ「平和の使者」に仕立て上げておだてるという、よく練られた発言です。

この「高市総理の世界がビックリする発言」と「トランプ大統領の毎日コロコロ変わる発言」が奇妙にかみ合い、会談は成功と評価されました。

しかし、お互いに「その場」「その時」「一瞬」をしのぐためだけの発言であるだけに、事態を収束させる力はありません。

3.晩餐会のパフォーマンスが映した“弱い日本”

晩餐会での高市総理の振る舞いも話題になりました。

X JAPANの音楽で登場し、踊る高市総理。

この行動が、高市総理が出発前に発言した「強かな外交」なのか、記者の前でドナルドの発言を抑え込んだ嬉しさから出たものなのかは分かりません。

しかしこのパフォーマンスによって、「アメリカに従属的な日本」、「アメリカに対して節度を超えたおべっかを使わないと守ってもらえない日本」、そんな「弱い日本の姿」を世界に印象付けたことは間違いありません。

「強い日本」で圧勝したはずの高市総理が、アメリカの前では「弱い日本」を演出してその場を乗り切るしかなかった。

それが高市総理の考える「強かな外交」の姿なのでしょう。

4.「日米のステップアップ」が意味するもの

日米首脳会談の中で何度も使われた言葉が、「日米はステップアップしている」という表現です。

この「ステップアップ」が何を意味しているのか分かりません。

ただこの言葉の意味は、私の妄想では「中国に対して日本の役割を広げましょう」というふうに聞こえてくるのです。

この「日米のステップアップ」が、沖縄県民に対する「新たな米軍基地負担」という解釈に繋がらない様にしなくてはなりません。

沖縄ファーストからすれば、「日米のステップアップ」は、沖縄の米軍基地返還のステップアップにするべきです。

いま以上に、日本の安全保障のために沖縄県民が我慢する必要はないのです。

5.日米首脳会談から置き去りにされた沖縄

下地幹郎の沖縄ファーストの視点からすれば、日米首脳会談において沖縄の過重な米軍基地負担が議題にもならなかったことは、非常に残念で仕方ありません。

日米安保条約のど真ん中の沖縄県には、日米地位協定をはじめ、米軍に起因する事件・事故など、課題が山積しているのに、沖縄を無視するなんてあんまりです。

北朝鮮による拉致問題と同じく、日米首脳は米軍基地問題を議題にすべきでしょう。

この日米首脳会談で無視された最大の原因について、私は、沖縄県の玉城デニー知事が会談前に動かなかったことだと考えています。

「地域が主体的に提案して動かなければ国は動かない」という認識を深く持つべきでした。

今回の日米首脳会談を沖縄問題解決のチャンスと捉えて高市総理に面会を申し込み、「日米首脳会談で沖縄県の考え方をトランプ大統領に伝えてくれ」と、官邸に乗り込むべきでした。

米軍基地問題の解決は、沖縄県知事が日米首脳をどう動かすかにかかっています。

行動しない政治には、問題解決という結果はついてきません。

高市総理の「強かな外交」は、「弱い日本」を世界にさらしました。

「対米投資という土産」「記者の前での暴言を阻止するためのお世辞」「憲法9条の改正と護憲のチャンプルー」「節度のないパフォーマンス」。

その全てが、「強い日本」がすべき外交ではなかった。

株式会社 沖縄ファースト政策研究所
所長    下地 幹郎