<第8号>維新の「終わりを始める」という決断

日本維新の会は、「終わりを始める」という大きな決断を下しました。

「政治的に終わるとわかりながら決断する」ことは勇気ある決断で、高く評価されるべきものです。

吉村代表自身、「自民党との閣外連立に踏み切れば、維新が掲げてきた『改革政党としての独立性』が揺らぐことを認めながら決断した」と発言していることに凄さを感じます。

国民がこの連立の決断をどう受け止めるか、注目です。

この自民・維新の閣外連立には、合意の条件として12項目が提示されましたが、その中でも特に注目されるのは次の4点です。

(1)議員定数の削減(50議席)

議員定数の削減自体に反対する人はいません。

しかし「比例代表のみ50議席削減」という案は極めて不公平であり、制度的に偏った提案です。

公明党が提案する「比例20・選挙区30」の削減案であれば理解を得られるでしょう。

比例のみを削減すれば、中小政党に不利益が集中します。

結果として「小政党いじめ」ということになり、王道の政治ではありません。

政治改革の本質を歪める本末転倒な政策だけに、やるべきではありません。

(2)企業献金の廃止

企業献金の廃止については、「高市総裁の任期である2027年までに結論を得る」とされていますが、永田町の常識ではこれは“やらない”ということの婉曲表現です。

また、「検討する」「将来的に結論を出す」といった言葉も、永田町では先延ばして「やらない」という意味です。

この政治用語は、もちろん維新も理解しているはずです。

維新にとって、政治と金の問題は1丁目1番地であったはずであります。

これは譲るべきでありませんでしたねぇ。

(3)社会保障改革

社会保障改革については、「両党の協議体を設けて協議を進める」とされています。

しかし維新は、これまで独自の対案を明確に提示してきました。

にもかかわらず、今回の合意において、具体的な政策項目まで踏み込まなかったのはなぜか。

これから協議体を設置して、これから詰めていくということは、「社会保障改革が最優先ではない」と自ら認めている証であります。

(4)副首都構想

「副首都構想」は、実質的には過去2度にわたり大阪府民が否決した「大阪都構想」と同じものだと、多くの人が理解しています。

大阪の未来を真剣に考えるなら、再度、府民に信を問うべきです。

しかし、再挑戦を避ける形で“副首都”という新しい看板を掲げるのは、かつての維新らしい率直さを失っているように見えます。

私は、初の女性総理大臣が誕生したこと、高市内閣が生まれたことは素晴らしく、期待をしています。

しかしながら私がかつて所属していた日本維新の会が、なぜこの程度の合意内容で連立に入ったのか、そこに疑問を持っています。

日本維新の会らしく「政策的に、自民党にすごいことを飲ませたな」というものが全くないのが残念です。

それでは、そこまでして自民党と連立を組まなければならない理由は何なのか。

客観的に分析をしてみると、最終的に行き着く結論は党勢拡大にしかたどり着きません。

日本維新の会の比例票は、2012年の衆院選で約1200万票ありましたが、2022年の参院選では約790万票、2024年の衆院選では約437万票と、凋落傾向が鮮明になっているのが現状です。

今回の自民党との閣外連立という決断は、この流れに歯止めをかけるための「最後の政治判断」であったと見るべきではないでしょうか。

国民をびっくりさせるような政策の合意がないと言うことになれば、それは党勢拡大のために我慢してでも連立を組むという結論を導き出すしかなかったのではないかと思います。

党の求心力を保つための“延命策”としての意味合いが強いとしか考えられません。

今年の参院選で議席を減らしたにもかかわらず、前原誠司共同代表だけに責任を負わせ、吉村代表は続投しました。

このことで党内の士気は削がれてしまいました。

加えて日本維新の会の党則である選挙後の代表選挙ができなかったことで、いまや「大阪中心の閉じた政党」になってしまったのです。

もう自民党と閣外連立を組みました。

後戻りはできない以上は、閣外連立の中で維新らしい政策提案を行い、小さく小さく結果を出していってもらいたい。

そしてその政策は、大阪だけでのものではなく、国家観を持ったものであることを期待しています。

株式会社 沖縄ファースト政策研究所

所長 下地 幹郎