<第36号>経済は“中小零細企業の元気”から始まる

現在の日本では、物価高が家計に深刻な影響を与えています。

2025年の消費者物価指数(CPI)は前年比約4%上昇しており、特に食品や光熱費の値上がりが顕著です。

米、野菜、加工食品、外食価格などは、1年前と比較して10~20%近く上昇している商品も少なくありません。

さらに、電気代やガス代もエネルギー価格の高騰、そして円安の影響を受け、高い水準が続いています。

現在の為替相場は1ドル=159円前後の歴史的円安水準となっており、輸入コストの増加が家計を直撃しています。

背景には、原材料価格の上昇、物流コストの増加、そして世界的なインフレがあります。

一方で、2025年の企業の平均賃上げ率は約5%と高水準となっています。

しかし、税金や社会保険料の負担増もあり、多くの国民は「生活が楽になった」とは感じていません。

特に年金生活者や低所得世帯、中小零細企業にとっては、極めて厳しい状況が続いています。

その結果、国民の節約志向は強まり、特売商品の購入や外食回数を減らす動きが広がっています。

消費の低迷は、今後の日本経済全体にも大きな影響を与えることは間違いありません。

そのような中、高市内閣は異例とも言える形で、5月にも補正予算を編成する方針を示しています。

一般的に補正予算は秋の10月頃に組まれることが多いですが、これほど早い時期に動くということは、政府自身が「国民生活への物価高の影響は深刻である」と判断した結果だと考えます。

私の経済政策の基本的な考え方は、「安定した物価」「持続的な賃金上昇」、そして「1ドル=120~140円程度の安定した為替水準」です。

しかし、現在の日本経済は「インフレ」「賃金上昇が物価高に追いつかない」「1ドル=159円」という状況にあり、中小零細企業や低所得者にとって極めて厳しい環境になっています。

さらに、ホルムズ海峡封鎖リスクによるナフサ供給の不安定化など、エネルギー価格上昇の懸念も強まっています。

この状況が続けば、今後さらにインフレが進行する可能性があります。

私は、日本経済の構造的な問題として、次の3点を重視しています。

1.金利が上がれば銀行が史上最高益を出す

2.電気料金が上がれば電力会社が利益を出す

3.ガソリン価格が上がれば石油会社が利益を出す

しかし、その一方で負担を強いられるのは、中小零細企業や低所得者層です。

だからこそ私は、「銀行は過度な金利引き上げを行うべきではない」「電力会社は安易に電気料金を引き上げるべきではない」「石油会社も過度な価格転嫁を避けるべきだ」と考えています。

つまり、電力・燃料・金融といった基礎インフラのコストを抑えることこそが、弱い立場の人々を守る最大の経済政策なのです。

高市内閣は、この考え方に基づいた補正予算を編成しなければなりません。

しかも、一時的な対策ではなく、大胆かつ長期的なビジョンに立った政策が必要です。

経済政策は、大企業や輸出産業中心ではなく、日本全国の中小零細企業に焦点を当てるべきです。

特に地方経済を支える企業にエネルギーと資金が行き渡る政策でなければなりません。

地域経済に資金が循環せず、外に流出する「ザル経済」のような状態を放置してはならないのです。

また、低所得者層に対しては、最低でも物価上昇率と同等となる5%程度の給付や減税を、速やかに実施する必要があります。

私は、「経済は中小零細企業の元気から始まり、経済成長は貧困対策の解決から生まれる」と考えています。

この視点を持たなければ、格差はさらに拡大し、日本経済は本当の意味で強くなりません。

日本では、かつて世界に誇った中流階級の層が薄くなったことが、「失われた30年」の大きな原因の一つです。

だからこそ、現在のインフレ局面において、中小零細企業と低所得者を支え、再び中間層を厚くする政策が必要なのです。

そして、大胆な規制緩和を進め、新しいビジネスチャンスを生み出せる環境を整えることで、日本経済には新たな活力が生まれてきます。

特定業界だけを守る「護送船団方式」のような経済構造を終わらせなければ、一部の限られた企業だけが守られ続けることになり、日本経済の成長を阻むことになります。

高市内閣が異例とも言える5月の補正予算編成を行うのであれば、その内容もまた異例のものでなければなりません。

重要なのは、「中小零細企業対策」と「低所得者対策」こそが、日本経済の成長につながるのだという価値観を持つことです。

その考え方こそが、これからの経済政策の出発点であるべきです。

株式会社 沖縄ファースト政策研究所
所長    下地 幹郎