<第40号>久米島には未来がある

「ミキオさんはなぜ、久米島オーシャンジェット株式会社という会社をつくってまで、高速ジェット船の就航に挑戦しているのですか」とよく聞かれます。

私の答えは、いつも同じです。

「久米島町をはじめとする離島や、本部町をはじめとする北部地域は今、著しい人口減少で過疎化が進んでいます。このままでは、地域社会の維持が難しくなってしまう。私たちはその現実を、本気で恐れなければならないからです」

私は30年間の政治生活の中で、離島や北部地域の振興に取り組んできました。

しかしいま振り返ると、人口減少という最大の課題に対して、もっと真剣に向き合うべきだったという反省があります。

だからこそ、政治家を辞めたから終わりではなく、「今度は人口減少に悩む地域のために、民間の立場でできることに挑戦しよう」と決意したのです。

私は政治家時代、久米島のために様々なプロジェクトを実現してきました。

全45ホールのパークゴルフ場、海洋深層水を使った温浴施設バーデハウス、兼城港ターミナルビルと岸壁の整備、海洋深層水を活用した温度差発電、酒造所 久米島の久米仙の再チャレンジ支援、自衛隊基地道路、儀間ダムの建設、干ばつ時の宮古島からの給水車派遣、地元企業への設備投資支援、そして久米商船のフェリー2隻の建造への補助など、本当に多くの事業に携わってきました。

しかし結果として、久米島の人口減少を止めることはできませんでした。

そこで一つの結論にたどり着いたのです。

それは、久米島の未来を変えるためには「交通の流れ」を変えなければならないということです。

第一に、久米島へ来る人の数を大きく増やすこと。

第二に、誰もが利用しやすい低コストの移動手段を実現すること。

この二つを同時に実現できれば、久米島は必ず再生できると確信したのです。

そんな時、JR九州高速船が高速艇を売却するという情報が飛び込んできました。

私は茶道裏千家の会を通じて親交のあったJR九州の石原進元会長に、久米島への思いを直接お伝えしました。

そして、その思いに共感していただき、高速船を譲り受けることが決まったのです。

現在、宮古島の観光客数は約130万人、石垣島は約150万人、座間味・渡嘉敷は約20万人です。

一方で、久米島は約10万人。

この数字を見れば、誰もが「久米島にはまだ大きな可能性が残されている」と感じるはずです。

久米島は決して魅力が少ない島ではありません。

美しい海、豊かな自然、海洋深層水という世界に誇れる資源、歴史と文化、そして何より温かい人々がいます。

久米島には、まだまだ伸びる力があります。

私は久米島を「夢がある島」にしたいのです。

若者が島を離れなくても夢を描ける島。

島を離れた人たちが帰ってきたいと思える島。

県外や海外からも「久米島で挑戦したい」と人が集まる島。

子どもたちが将来に希望を持てる島。

そんな未来をつくりたいのです。

高速艇の購入後も、修繕問題など様々な困難がありました。

しかし150名を超える株主の皆さまのご支援によって、6億8,000万円もの資金を調達することができました。

私は、この事業が単なる船会社の事業ではなく、「久米島の人口減少に歯止めをかける」という大きな使命を持った挑戦だからこそ、多くの理解者や応援者が増え続けているのだと思っています。

5月2日には接触事故で、多くの皆さまにご心配とご迷惑をおかけしました。

しかし、久米島オーシャンジェットの高速艇「つむぎ」は7月1日から再び元気に久米島へ向かって走り出します。

私たちは事故を経験したことで、むしろ以前より強くなりました。

改めて、安全対策をゼロから確認しなおしました。

社員全員ですべてのマニュアルを再点検し、安全最優先を今一度、肝に銘じたのです。

また、船内設備の運用を改善し、船内サービス・陸上サービスを見直し、物販も強化しました。

さらに今回、沖縄県内で本格的な高速ジェット船修理に挑戦しています。

これは単なる修理ではありません。

地域に技術を残し、人材を育て、産業を育成する挑戦でもあります。

先週は県内工業高校の生徒たち6名が見学に訪れました。

私は、彼らがものづくりの素晴らしさや技術者の誇りを感じてくれたと信じています。

久米島オーシャンジェットでは毎日、社員全員で一つの言葉を唱和しています。

「つまずいた石を宝石に」

人生には必ず失敗や困難があります。

しかし、それを教訓として乗り越え、価値あるものへと変えていくことができるのが人間なのです。

私たちも今回のつまずきを宝石に変えるために挑戦を続けています。

久米島には夢があります。

久米島には可能性があります。

久米島には未来があります。

私はその未来を信じています。

だからこそ、この挑戦を絶対に諦めません。

久米島を、沖縄で最も夢が語られ、最も挑戦が生まれる島にするために。

そして、子どもたちや孫たちの世代に「久米島に生まれて良かった」と誇れる島を残すために。

私たちはこれからも全力で前に進み続けます。

株式会社 沖縄ファースト政策研究所
所長    下地 幹郎