<第38号>世界は次の時代へ動き出した-情報を制する者が未来を制する-
私は常々、「情報を持つ者が未来を制する」と申し上げています。
その意味で、私はNHKを高く評価しています。
なぜなら、NHKは世界中に支局や特派員を配置し、世界各地で起きている出来事をリアルタイムで取材しているからです。
大手商社や世界的なIT企業も同じです。
彼らは世界中から情報を集め、その情報を基に投資判断や経営判断を行っています。
だからこそ私は、NHKの報道や世界企業の動向を常に注視しています。
世界で何が起きているのかを知り、その変化にどう対応するかを考えなければ、日本は世界の競争から取り残されてしまうからです。
今回、ソフトバンクグループがフランスを中心とした欧州最大級のAIインフラ投資を進めるという報道を見て、私は強い危機感を持ちました。
孫正義氏はこれまでアメリカとの関係を重視しながら事業を拡大してきました。
その孫氏が欧州にも大規模な投資を振り向けるということは、私は世界の経済地図が大きく変わり始めている兆候だと見ています。
企業は利益を追求します。
利益を追求する企業が投資先を分散させるということは、世界経済や国際政治のリスクを敏感に感じ取っているということです。
だからこそ、今回の報道に私は注目しました。
一方で、中国経済の減速はますます鮮明になっています。
製造業の景況感は低迷し、企業は先行きに自信を持てず、生産や投資に慎重になっています。
需要不足、不動産問題、地方政府債務問題など、さまざまな課題が中国経済を圧迫しています。
しかし私は、中国経済の変化を悲観的に見るだけでは意味がないと思っています。
むしろ、日本にとっては大きなチャンスです。
世界第二の経済大国が変化している今こそ、日本企業がどの分野で勝負するのか、日本政府がどのような戦略を描くのかが問われています。
さらにアメリカでは、自国産業を守るための政策が次々と打ち出されています。
サプライチェーンの見直し、半導体や自動車産業を中心に、国内生産や域内調達を重視する政策など、アメリカは明らかに自国第一の経済政策を強めています。
私は、アメリカはこれからさらに強い要求を同盟国に突きつけてくると見ています。
日本企業も例外ではありません。
だからこそ、日本は「アメリカがどうするか」を見ながら行動する国であってはなりません。
アメリカ、中国、ヨーロッパ、インド、ASEAN、中東、アフリカ。
世界の企業は既に次の成長市場を見据えて動いています。
しかし日本では、ガソリン補助金や減税の議論ばかりが注目され、国家としてどこに向かうのかという大きな戦略が見えてきません。
私は、日本政府が今こそ大胆な世界戦略を示すべきだと思います。
アジア戦略はどうするのか。
中国との関係をどう築くのか。
ヨーロッパとの経済連携をどう強化するのか。
アフリカの成長をどう取り込むのか。
こうした国家戦略を明確に示さなければ、日本は世界の変化に対応できません。
世界は今、大きく動いています。
動いていないのは日本の政治だけかもしれません。
世界中の企業は次の成長市場を探し、国家は次の時代の覇権を争っています。
日本も沖縄も、その変化を見極め、先手を打たなければなりません。
情報を持つ者が未来を制する。
私はその信念を持って、これからも世界を見続けていきたいと思います。
株式会社 沖縄ファースト政策研究所
所長 下地 幹郎


